ブラックホールな「息子介護」の解明に挑んだNHK『クロ現』に思うこと。

かわぞえ ゆうき 

ブラックホールな「息子介護」の解明に挑んだNHK『クロ現』に思うこと。

どうもです!

先週NHK『クロ現』で放送された「息子介護」特集はかなりの反響があったようです。

僕もリアルタイムで視聴しながら、世間ではどんな反応があるのか同時にツイッターをうかがってました。

👇そのツイッターまとめがこちら

「胸が熱く」「正直生ぬるい」など。NHK『クロ現』で #息子介護 を特集《ツイッター反応まとめ》

2018.07.04

介護虐待、加害者の4割が息子

で、僕は『クロ現』があえて息子介護に焦点をあてたのかをおさえておく必要があると思っています。

まず現状として、右肩上がりの介護虐待件数のうち、介護者が息子の場合が全体の4割も占めているんです。

で、今後も息子介護者の増加とともに、虐待件数も増えていくだろうということ。

息子介護が増える理由

なぜ息子介護者が増えていくのかというと、

  • 晩婚化・非婚化(男女未婚率は2:1)
  • 非正規雇用などの不安定な就労によるパラサイト息子の増加
などが、その割合を増やしている要因になっています。

息子介護の3つの傾向

KAIGOLABの酒井さんが番組の解説者として出演。息子介護の傾向について大きく3つ示されていました。

このあたりは以前も書いたのですが、男性と女性の傾向を比較するとわかりやすいかと思います。

【図解】ストレスをためやすいのは?女性介護者と男性介護者のちがいと傾向をまとめてみた

2018.06.29

まず息子にかぎらず、男性介護者が最初に直面するのが、炊事や掃除といった不慣れな家事です。

現行の介護保険制度では、家事は家族が行って当然だという見方が強くて、同居の家族がいる場合には、「家事援助」サービスの利用が制限されています(これにより老老介護の場合、共倒れになるケースが多い)。

おおむね40~60代の息子は働き盛りでありながら、仕事と介護の二者択一を迫られて、仕事を辞めざるをえないと判断していわゆる「介護離職」が起こっているんです。

《キーマン対談》「つっこんだ質問ですが、介護事業ってあまり儲からないですよね?」ケアメンから介護課題解決ビジネス驀進中のソーシャルアップ代表 井口忠二さんに聞いてみた。

しかも子育てと異なって、先が見通せない介護はいつまで続くかわからないという不確定要素も大きい。自分の健康や将来への不安はつのるばかりです(想像しただけでおそろしい)。

いろんなジレンマが渦巻くなか、自暴自棄になってつい虐待に走ってしまう。その結果が統計データにあらわれています。

息子介護はブラックホール

虐待って、「閉鎖的な環境」で起こりやすいと言われています。そう、外からは見えにくいところで。

『おひとりさまの老後』などの著者で知られる社会学者の上野千鶴子(@ueno_wan)さんは、息子介護のことを「ブラックホール」にたとえて表現しています。

息子介護は現実に増えているのに、最も実態が知られていないのが息子介護である。数が少ないから、ばかりではない。息子介護者達が、自分について語らず、他人に救いを求めず、他人の介入を拒むからだ。息子介護は、まるでブラックホールみたいなのだ。

つまり、息子はヤドカリみたいに自分を閉ざしてしまう傾向があるってことですね。しかしブラックホールとは言い得て妙。

このブラックホールにアプローチするのはなかなか難しい。しかもこのブラックホールの中で、何やらただなられることが起きているらしいことも既にわかっている。嫁の虐待が多かったのは、単にヨメが介護している割合が高い、という結果に過ぎない。それに比べて息子介護の割合が少ないのに、虐待者が多いのは、やっぱり息子介護に何か問題があるらしい。

ブラックホールな「息子介護」の解明に挑んだNHK『クロ現』に思うこと。

そして、「嫁」による絶対的な虐待数は多いが、「息子」による虐待数は相対的に際立って多い点にも言及されています。

前者は嫁自体が介護することがもともと多いのでそれに比例している、という点で理解できます。でも、後者は、その比例する理屈がしていないということです。

キーワードは「チームワーク」

で、どうすればいいか?

番組では3つの事例を紹介し、最後に酒井さんがそれらをふまえての心構えを提言されています。

やや乱暴ですが、番組全体をひっくるめると、重要なキーワードが浮かびあがってきます。

それは「チームワーク」。

つまり、

  • ひとりで抱え込まずに、依存先を分散させよう
  • 介護のプロに任せて、自分は司令塔になろう
  • そのために介護保険制度をしっかり理解しよう
ってことです。

マネージャーになるという発想

つまり、介護をひとつのプロジェクトとみなして、自分自身が司令塔、つまりマネージャーになろうという発想です。

「訪問リハビリ」「訪問介護」「デイサービス」「ヘルパー」などの介護リソースを、もう一人の司令塔であるケアマネージャと二人三脚で、うまく組み合わせてチームプレーで乗り切ろうというもの。これって介護離職を予防する策でもあります。

だから自分でもなんでもやろうとしないことなんです。

介護する側・される側の距離が近すぎるから、煮詰まってくるわけで。

ゴールが見えにくいプロジェクト

このプロジェクト遂行の「感覚」は、これまで仕事でやってきたプロジェクトと近いです。必要なタスクをチームメンバーにふりわけ、各自が期限までに遂行し、ゴールに近づけていくという意味で。

ただし仕事との大きな違いは、介護の場合、ゴールが見えにくいということを認識しておかないといけません。

やがて「介護2.0時代」がやってくる

このところ国は、保険制度がもう限界!とばかりに、「施設介護」から「在宅介護」へと舵をとりはじめました。

《キーマン対談》「つっこんだ質問ですが、介護事業ってあまり儲からないですよね?」ケアメンから介護課題解決ビジネス驀進中のソーシャルアップ代表 井口忠二さんに聞いてみた。

いまの団塊ジュニア世代が介護者となり、本格的に親の介護をするのにあと10年くらいかかるでしょう。

そうなったときには、

  • 自宅介護用ロボット
  • 介護シェアリングサービス
  • 介護と保育の「共生ケア」システム
あたりが普及し、ずいぶんと活用される世の中がやってくる予測します。

僕はこれを勝手に「介護2.0」時代の到来と呼んでいますが、そうなると、介護者の負担も減りチームワークがより機能しやすくなるはずです。

もっとも、介護職の不足問題がある程度解消されていることが前提ですけどね。

どうなんでしょう、3割くらいは外国人によって介護される未来になるのか…。

引き続き、動向を追っていきます!

 

僕もケアメンの生態を研究する「ケアメン研究家」として、今回のNHKの特集を通じて、息子介護の実態に少しだけかもしれませんが一歩近づけたことは大きいです。

ではまた!

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